花を飾る
ひだかたけし
隣家の灯り、
赤々点いて
車列は街道に、
長々伸び
ピエタの画像*、
あまりに重く
俺はひたすら、
横になる
燃える心臓
喰われる脳髄
憂鬱な心、逆巻く時
どれもこれも言葉遊び
どいつもこいつもカッタリィ
無常の時は過ぎて行く
ピエタは裸で死にかけ
薄明の光はうっすらと
片手を差し出す修道女
岩石波打ち渦を巻き
沸き立つ感情、貫かれ
隣家の灯り、
虚しく消えて
変わらずテレビ、
馬鹿笑い
ピエタの画像、
あまりにリアル
俺はひたすら、
花を飾る
白い小部屋に、
夕べの森に揺れていた
紅く輝く花を飾る。
*ゴッホ『ピエタ(ドラクロワによる),』より