ちょうどいい割合
アンテ


一対五で混ぜるのよ
カナコさんは慣れた手つきで
ビンのどろりとした白い液体を
コップに注いた
それから
冷えたペットボトルを冷蔵庫から出して
ぐわぐわっと振ってから
神妙な手つきで
水をコップにつぎ足した
恐る恐る
一口呑み込むと
のどの奥がざらざらして
でも
ちょうどいい割合だった
人生をやり直すのって
こういうことかもね
カナコさんは自分の分のコップを持って
縁側にすわって
うちわをパタパタ動かした
ソーダとかコーラで割るのが
おいしいことも
ちゃんと知ってるのよね
カナコさんに並んですわって
相づちを打ちながら
コップ半分くらいを一気に飲むと
胸がすーっとした
あわてずさわがず一対五
混ぜるときは一対五
二人で歌っているうち
クリームシチューが食べたくなった
そう話すと
カナコさんはけらけら笑った



自由詩 ちょうどいい割合 Copyright アンテ 2003-11-27 01:49:45
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びーだま