虹の魔法石(三)
おぼろん

そして、エインスベルの牢獄の鍵が開けられた。
エインスベルは、左手首をさすりながら、牢を出る。
エインスベルは、牢獄で自らの身を傷つけていたのである。
それは、自らが生きているということを確かめるためだった。

「エインスベル、本当に無事なのだな? 怪我はないのか?」
「怪我はない。アイソニアの騎士よ。それよりも、
 ここで我らが、牢から出た以上、お前たちも追われる身となる」
「そんなことは、先刻承知している。今はヨランの知恵に任せるしかない」

「エインスベル様。これが、虹の魔法石でございます。
 わたしが調べたところでは、これがすべての魔法石の原石である、
 ということです。……これには、エランドル・エゴリスが……」

「その者の名前を出すな!」エインスベルは怒気を発した。「いや、済まない……」
「汝らは、冒険の末にその魔法石を手に入れたのだな?」
「そうです。この魔法石は、あなた様が持っているべきものです」


自由詩 虹の魔法石(三) Copyright おぼろん 2022-11-01 18:20:53
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