2002年の(cap verses / そよ日暮らし投稿作品)
板谷みきょう


しりとり四行詩

★*゚*☆*゚*★*゚*☆

12/17
きっと空からも 楽しげな宴♪
楽団の夢 叶わずとも
盗賊一味は 去りゆきし
暁が際の 出ずる時刻よ


あなたにあえて 龍は黒船へ
先にあなたが流してくれた
優しさ思いやり 慈しみの涙
忘れはしません これからもずっと


くるおしく いじらしく
哀しさと はかなさで
ひそやかに 恥じらい降る夜は寂し
難しい人生に 懐かしき一行かな


きっと空から雪は 沈んでくるままに
一欠片づつ綺麗 光りながら
風に抉り取られた 雲の切れ端のごとく
死の国へ燃え落ちる シベリアの眼差し


あなたに敢えて 言わないけれど
内緒にするなら 教えてあげる
エメラルドの誕生石 失う伝説の運命
添えられしひそひそと 悲しい愛の匂い


雲に隠れて 星が今宵もこすれ合う
死んで逝く空を仰ぎ 病むこころ
いとおしまねば 吹き晒されそよぐ
風に 造作もない贅沢な木石の


アナタ二ア エテフエフキテ
キエタコ ドモユキユキテ
ネズミタ イヂノ フエフキ オト
コハ キチガエノ ヤクソク


草叢に 痩せた花房の虚像より
張り合いの無き 似合いの黙笑は
ただ 生きていく上の独立した必要
薄苦い いたわりの交換として


苦し紛れに 片手を頬に宛て
刺激に憑かれた 裏通りは
境目のない享楽を 灯し続ける
真実ほんとうの 脳髄の遠い記憶よ


くくくく…笑いなさるな
我輩の前に現れし三人の幽霊
過去と現在そして未来・・・
イブの夜の柔らかき贈り物

★*゚*☆*゚*★*゚*☆

12/10
メールしようかしないでおこう
言い訳を求めないトキメキに戸惑い
手遅れの視線と知っている
君の住む街


広がる野原の冬枯れに
遠い処にでかけた母を
慕う心に応えしは
栗のコノハの真心の姿


かならず私が死なせはしない
嵐の夜明けに残された
レンガの壁に不思議な葉
素敵な奇跡が起こりますよに


メール見て心がふっと軽くなる
島のきつねの優しさに似て
とっても暖かくてちょっと泣かされる
君の想いが胸の谷間に風を紡ぐ


広がる冬空に一段と
輝き続け燃え尽きることなく
今も優しくいつまでも
しずかに…

かならず私 星を集めて
かけがえのないひとときに
悪戯なひとみと細い指
うつろいやすい冬空のもと


★*゚*☆*゚*★*゚*☆

12/03
信じてしまうよ
裏切りに咲く仇花で
後悔の泪は…
これからも信じていこうと


乾杯で
泣いて笑って
あとの祭りか
燗冷まし


迷子になって
きつねの窓
交わした笑顔の
おんなじ瞳


信じてしまう
今宵も遥か雪催い
何処かの空を
飛んでるジュべリ


乾杯は
何でも無い日
おめでとう
兎追いかけ出逢うは羊


迷子から星めぐり
カムパネルラは蠍の火
真実幸福の証は
朝に見た天使の梯子



信じてしまう祝福の 乾杯終えて
ずうっと鳩を ただ眺めつつ
背広姿の いのちの迷子
ベンチで祈る 若い二人の遠い未来を


迷子の愛は届かない
月夜に甘く切ない夜風
乗せたメロディ♪
(くず星の宇宙)広がる


★*゚*☆*゚*★*゚*☆

11/26
行方放浪い 見つめあい
言葉を交わし 口ずさむ流行歌
雪まみれで笑む君 お道化た朝は
遠い日の ぼくの心の忘れもの ⇒

忘れものがありました。
故郷に置き去りの孤独なあの日
今ならもっと上手く言えるのに
心から愛しています…あなた ⇒


あなたのおかげで こうして暮らし
ありがとうも言えず今年も 年越し
秘めた想いは初雪が 消し無限の星空
ちりばめられて拡がる 感謝の行方 ⇒


行方知れずの思いやり
赤鬼と君を泣かせた青鬼は
「大丈夫だよ」
気遣う君の心に居ます


忘れもの…手袋ひとつ
子狐のかじかむ手
温ったかい母の息と願い
知っているのは店の主人とワタシ


あなたが届けた山の実り
知りませんでした
だってあんなに有名な悪戯狐
筒口から細く昇る硝煙です。ごん


行方さえぎる手を解き 
     (若かったからなぁ
忘れものは一つもない
     (素知らぬ振りで強がりばかり
あなたの笑顔も温もりも
     (食べ物は送らずとも大丈夫だよ。
ふるさと捨てて幾年月
     (まさかこうなるとは…


★*゚*☆*゚*★*゚*☆

11/19
知りたかったのです
昨日偶然 出会った山ン婆の
明日は 見つからない花咲き山に
傷付き 咲いた花は ありやと


たくさんの村人の前で 磔られて
ベロッと舌出し 息絶えし
八の字眉の トンマ顔
優しさの本質 異相なる現実


波間に浮かぶ 泡沫の中に
大きくなりたいと 叫んでいた
んでねが、わらしこ! 八郎の
あれは今でも 聞こえているか


知りたかった野(の)駆けの途中で
激烈な夢に味わう 甘美の滴
吸い込んだ淫靡な香りに
恍惚を覚え 箱詰められし直感の蜜柑


たくさんむさぼり 微かに震へ
たっぷり うごめく潮の香りの
ねっとり とろけたる眩しき処
柔らかい月 光の中


波のようにと 繰り返しうねる快楽に
逆向きの這う舌の 予告も無しに のた打ち廻る
互いの腰の もち上がられし 異空の時間
歯茎と喉を弄る 陽物の弾みよ

★*゚*☆*゚*★*゚*☆

11/12
おとなしくして座敷童と語る
二度童の老師は魂の森に迷い
遠き日のありがたき豊穣を辿る
うたかたの夢はるか


Be just and Fear not
見知らぬ異教徒 二人使徒
地に落ち死なぬ 一粒の麦
さよか。おおきに。すまんのう。


おとなしくして
音を無くして
しくしく泣くな
泣くな大人と


瓶詰めの募る想いの恋文を
いたたまれずに流した冬の兎飛ぶ
蒼ざめた海に心燃やして
今も届かぬ若き日の浪漫


地平線を昇り沈む
陽と月の巡行
太古に馳せる
珈琲ブレイク

★*゚*☆*゚*★*゚*☆

11/05
助けて 知ってたのに
助けて わかってたのに
不幸な日々に恋に落ちて
…もうこの人しかいない


再び生まれ変わって
巡り合えても一緒にね
そんな科白が
僕のマタタビ


灰色の ものとーん
明けない? 暮れない?
かわるきせつに あどけない
さかい あやどる もみじくれない


助けて…!
大人って何だろう?
誰が大人だろう?
僕たち、どうしたら大人になれるの?


再びなんとかなるさ
レット・イット・ビー
ケ・セラセラ
エトセトラ


灰色の鬼
青鬼にも赤鬼にもなれず
「ココロノ ヤサシイオニノウチ…」
丘の上から見詰める里の灯

★*゚*☆*゚*★*゚*☆

10/29
携帯電話で
「今日も明日も明後日もダメよ。」
と言う君の三日後OKって!
明々後日のことなのぉ~?



うわの空の
ほどほどに
困惑してる
冬は灰色


「う」から始まるのなぁに?
ウサギ・馬・牛・・で右往左往
ウミウシってキモくない?…って
そりゃ在りかよっ!?

★*゚*☆*゚*★*゚*☆

08/27
またくるね車でね
ぐるり蝦夷富士まわり
約束をすっぽかし幾年月
バーベキューで迎えられ


ぢりぢり忘れの夏
実り忘れず もろこし畑
空に伸び行く
姿は幼子に似て


リンリンと鳴る
風鈴の揺らぎに
気付く
応えを運ぶ風


自由詩 2002年の(cap verses / そよ日暮らし投稿作品) Copyright 板谷みきょう 2022-10-18 11:33:13
notebook Home 戻る