走破する、声へ威容へ
ひだかたけし

混沌とする現実に、

均衡を欠きそうになりながら

薄氷、噛み砕き

バランス、
ばらんす、

中庸、保ち

太陽を凝視しながら
喜んで溶けて盲いる

限り無く闇に沈み
限り無く光を求め

ぐしゃぐしゃの途、辿る
対峙すべきオノレ、探り

病の日々は過ぎる過ぎる

半球えがく空に、星は輝き
半球えがく天に、陽は昇り

ウネル色彩渦に鳴り響く天空ラッパ
帰依は在るに驚くオノレの眼差しに

未だ、未だに

苔むす深緑の湧水大地は開け
黄金に光輝く岩峰、聳え立ち

夢の奥?
現の壺?

均衡保ち、悪は善に変容し善は悪に裏返り
覚えておけ少年、突然暴れ出し常に微笑む
中村くんを中原くんを、

遺体の父の静謐
老いた母の狂気

太陽の肉体を揺らし
昇る深紅の月に怯え

合体する天空の星雲たちに
鋭角のビート打ち鳴らして

わたしは生く、
私は走破する、

この人生という歓喜を罪悪を
ひたすらひたすら真ん中にて

ひたむきにオノレと対峙し続け
ひたすらにタマシイを採掘して

未来から過去へ過ぎる
時計時間を乗り越えて

過去から未来へと流れ
直観が知覚像と邂逅し

表出する情動の時間へ

遡行して、遡行して
記憶の奥へ記憶の億

わたしは生く、
私は走破する、

内奥の底から微かに谺し残響する
貴女たちの声へ貴方たちの威容へ







飽きることなく流れ続けるTVの哄笑の渦に曝され
徹夜続きの職務の遂行に聴力を損い障害者となり









自由詩 走破する、声へ威容へ Copyright ひだかたけし 2022-10-10 17:35:13
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