氷のカケラ
秋葉竹




欠けていく
月のすき間に入り込む
涙みたいな悲しい記憶


言葉より
刺さる牙などない夜の
そして月さえ牙に視えるよ


おだやかに
生きてきたからおだやかな
未来があるとは限らないから


言い訳の
数だけ罪は増えてゆき
罪の数だけ心は冷えるね


口にした
熱とか情とか愛とか恋
綺麗な嘘を見守れよ月


そうだよと
悲しい牙の形した
それでも月に祈り希うよ


わかってる
たったひとつの真実を
言葉にできる勇気が欲しい


眠るとき
ひとつの夢をみることを
泣きたくなるほど希ってしまう


傷つける
はずじゃなかった好きという
言葉にならない夜の切なさ


歓びに
脳から背骨まで震え
これが生きてる理由(わけ)だとしたら


ただ君の
やりたいようにからませて
ふたりのこころをあわせてご覧?


生きている
涙もこぼれる寒い夜
月をみあげて詩人のふりする


道ばたの
氷のカケラをつまんだら
希いをこめて夜空に投げるよ











自由詩 氷のカケラ Copyright 秋葉竹 2022-09-22 02:17:17
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