りんご
はるな



ひと山いくらのりんごから
いちばん赤いのをみがいて
光らせて持ち帰る

夕暮れに
朝焼けに
割れるような喪失を持ちながら
生活のすみずみを拭き上げる

その割れが
ひとかけらが
どこにあろうとも知らんふりをして
赤い実をむく
不恰好に
日々をたいらげる



自由詩 りんご Copyright はるな 2022-09-20 23:29:46
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