終活の夜
zenyama太郎
終活の夜は
むなしくて長い
こんなに味気ないものはない
現役時代のような
達成感も安堵感も心地よい疲労感もない
いつものように夕飯を食って焼酎を飲んで寝るだけである
ワイフとの弾む会話もなく
おもしろいテレビもなく
ただ一人寝るだけである
夜明けを待ちながら長い夜を寝るだけである
たまに妻の笑い声で目が覚めるときがある
夫が寝ている深夜一人テレビを見ながら笑う妻
何がそんなにおかしいのだろう?
ちょっと不気味感もあるが
トイレに起きてまた寝るだけである
ああ!終活の夜は
むなしくて長い