終活の夜
zenyama太郎

終活の夜は
むなしくて長い
こんなに味気ないものはない
現役時代のような
達成感も安堵感も心地よい疲労感もない
いつものように夕飯を食って焼酎を飲んで寝るだけである
ワイフとの弾む会話もなく
おもしろいテレビもなく
ただ一人寝るだけである
夜明けを待ちながら長い夜を寝るだけである
たまに妻の笑い声で目が覚めるときがある
夫が寝ている深夜一人テレビを見ながら笑う妻
何がそんなにおかしいのだろう?
ちょっと不気味感もあるが
トイレに起きてまた寝るだけである
ああ!終活の夜は
むなしくて長い


自由詩 終活の夜 Copyright zenyama太郎 2022-09-19 21:13:54
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