こうていペンギン
菊西 夕座


余は高齢ペンギンであるぞ
腰はみじんも曲がっておらぬとはいえ
前傾姿勢が急であるからして皆のもの
頭が高い。
予は皇帝・・してどのあたりがペンギンの
腰であるか?
かくかく しかじか かくかく しかじか
すべてよし。
予は肯定・・して逆らうものの首はみな
掻く掻く チョキチョキ 掻く掻く チョキチョキ
それでよし。
余は剪定・・してどのあたりがペンギンの
首であるか?

はじまりはいつもびぎん
ぺんぎんではなかった
それもよし。
書く書く 詩か詩か 書く書く 詩か詩か
すべてよし。
ペンもつ詩人に褒美をつかわせ
予は太っ腹・・してペンギンのはじまりは
ペンであるか?
予は到底ペンでは書けまいぞ
ましてや消し去ることなど言語道断
予は胴短にしてほぼ全身が首である。

予は高低ペンギンであるぞ
位は高けれど姿勢は低し
ぎょくせき こんこう いっちょう いったん
すべてよし。
予は鳥帝・・してこの両翼は鳴かず飛ばず
笑わば笑え 余はくじけまいぞ
潜水艇の放つ砲弾のごとき泳法で
夢に向かって進むことに迷いなし
予は前傾・・して睨み据えているのは
割れた氷の歴史と仄暗き海の未来

がくがく ぶるぶる がくがく ぶるぶる
それでよし。
さて汝、南極を照らす眠りしらずの女神よ
ボーリングのピンと余の体形が似てはいても
予はピンギンにあらず
さればこそ予を転がす遊びはもうやめよ
予は横転・・ではなくして直立の王
不羈・不抜の精神でもって高らかに歩く
たとえ前傾のくちばしに否定をくわえても
予は肯定・・して逆らうものの首はみな
予の首にすげ変わる!


自由詩 こうていペンギン Copyright 菊西 夕座 2022-09-19 14:21:09
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