ハーレスケイド、探索(八)
朧月夜

ヨランの殊勝な答えに、オーマルは静かに頷いた。
(さて、ここでいくら時間稼ぎをしても、仕方がない。
 エインスベル様の処刑は、数日の後に迫っているし、
 ここ、ハーレスケイドでは、時というものが止まっているのだ……)

はったりの使いようがない、という場面に置かれて、
ヨランも幾分動揺、あるいは戸惑っているようであった。
飄々とした性格は、彼の仮面に過ぎなかった。その仮面を、
彼は、未だ誰にも見透かされたことはなかった。しかし、今は違うとも思う。

「わたしたちは、この夜ここで野宿をするつもりでございます。
 オーマル様。あなたは、わたしどもとは別の天幕になさいますか?」
「心配はありません、ドワーフよ。わたしは空で眠ります」

「空? 空とおっしゃいましたか? それはどういう意味で……」ヨランは彼女の言葉を追いかける。
しかし、次の瞬間にオーマルの姿はその場から消えていた。
「消えてしまった。人間だとおっしゃっていたのに……」ヨランは、一行の誰よりも驚く。


自由詩 ハーレスケイド、探索(八) Copyright 朧月夜 2022-09-07 18:11:46
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クールラントの詩