ハーレスケイド、探索(七)
朧月夜
「あの方」……とは、ヨランの推測によれば、一人の魔導士のことを指している。
しかし、その人物がここで登場してくるということは、ヨランの予想外だった。
(この女は……何者なのだ?)と、ヨランも考える。
オスファハン邸で調べた二日間の知識では、計り知れない事もあるのかもしれない。
「オーマル様。オーマル様。ここは、取るに足らない盗賊の言ですが、
わたしの問いに耳を傾けてくださいませ。あなたはなぜ、
この世の理をすべて知っているかのように、お話しになるのですか?」
「それが、わたしの使命だからです。わたしは船における帆のような者です」
「船の帆? あなた自身に意志や感慨などはないのですか?」と、ヨラン。
「それはいずれ分かりましょう。ですが、わたし自身がわたしのことを知るためには、
今後数千年の時間が必要とされましょう。いいえ、数万年でしょうか」
ヨランは、オーマルの言葉に圧倒されるようであった。この世には、
すべての先を見通す、言い換えれば、世界を変えることも出来るような存在がいるのか、と。
「よく分かりました。今はただ、わたしどもを導いてください」
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クールラントの詩