ハーレスケイド、探索(六)
朧月夜
「あなたは、エインスベルという者の命が大事だと、おっしゃいましたか?」
アイソニアの騎士の胸に刺さるような言葉を、オーマルは発した。
「そう……。そうだ。エインスベルの処刑は、数日の後に迫っている。
それまでに、俺たちは何としても、彼女の命を救わなければいけない」
「尊い愛情ですね。ですが、あなたには伴侶もいらっしゃるのでは?」
「何だと?」オーマルの切り返しに、アイソニアの騎士は明らかに動揺したようだった。
「なぜそんなことを知っている? お前は何者だ?」
「わたしはハーレスケイドの住人。全てを見通す者です」オーマルが答える。
「すべてを見通す? お前は預言者の類なのか?」アイソニアの騎士は、すぐさま問い返す。
「無邪気なのですね、あなたは。ここ、ハーレスケイドでは、それは通用しません」
「通用するかしないかなど、問題の外だ。俺たちは挑戦する!」と、アイソニアの騎士。
「よろしいでしょう。わたしは、あなたがたの問いをはぐらかす、ということはいたしません。
わたしは、ひとえに『あの方』の声に従うのみなのです」
その謎めいた言葉に、ヨランですら首を傾げた。「あの方」とは?
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クールラントの詩