ハーレスケイド、探索(二)
朧月夜

ヨランたちが見たもの、それは甲虫ダルザジアの群れだった。
盗賊ヨランですら、このような大規模なダルザジアの群れを見たことはない。
「危険です、騎士様! エイミノア様、あなたにも見えますね?」
「おう。オークの視力はどの種族にも勝っている。言われるまでもない」

ヨラン、アイソニアの騎士、エイミノア、そしてオーマルの一行は、
今や、危険な甲虫の群れに取り巻かれようとしていた。
虹の魔法石を手に入れようという旅の途中で、こんな些細な、
話の種にもならないような危険に巻き込まれる訳にはいかない。

盗賊ヨランは、一瞬迷った。しかし、それは一瞬の出来事だった。
「ミスフィオ・バッテであれば、彼らを退けられるかも知れません」
「ミスフィオ・バッテ、だと? それは一体何なんだ?」

「あはは。あなたは敵国人でしたからね。ご存じありますまい」
ヨランは、そう余裕をもって言うとともに、背嚢から一本の杖を取り出す。
それが火を放つと、甲虫の群れは灼熱の火で焼かれていった。アイソニアの騎士は絶句する。


自由詩 ハーレスケイド、探索(二) Copyright 朧月夜 2022-09-05 03:38:35
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クールラントの詩