ハーレスケイド、探索(一)
朧月夜
そのころ、ドワーフたるヨランたち一行は、ハーレスケイドでの旅を続けていた。
右手には、虹が見える。ヨランたちが今登っている岩場からは、
荘厳な滝が見えていた。その高さは、何十マルテあったであろうか。
この世界の美しさ、気高さに、一行は魅入られているのであった。
「おい、ヨラン。本当にこの先に神殿があるのであろうな?」
「いえ、神殿とは限りませんよ、アイソニアの騎士様。
それは単なる遺跡かも知れません。そうなら、あなたは残念に思われることでしょう」
「遺跡ならば、それで良い。そこには古代の遺物があるのであろう?」
アイソニアの騎士は憮然として呟いた。一行を、単なる盗賊であるヨランが率いている
ということに、彼は未だに一抹の不安を感じていたのである。だが、
予想や予感というものは常に裏切られるものである。アイソニアの騎士が嘆息しようとしたその瞬間、
「騎士様。あちらに何かが見えます! あれは一体何なのでしょうか?」
「わめくな、盗賊。俺たちに恐れるものなどあるだろうか。それよりは冷静になれ!」
だが、そこには暗雲が広がっていた。いや、正確には違う。それは彼らにとっては意想外のものだった。
この文書は以下の文書グループに登録されています。
クールラントの詩