リアル
ひだかたけし
この白い小部屋の空間に
鋭く浮かぶ氷塊に
貫かれていく肉体は
明日を安楽死させることはできず
ひたすら今この瞬間に
苦痛を増幅させる
ああ おれの脳髄はおれの神経は
どんなプロセスをたどって
この苦痛を生じさせるのか
それすら一つの表象に過ぎないというのなら
それすら一つの夢に過ぎないというのなら
この肉の苦しみの生々しさはなんだ?
アヴァロン、五感を超えたわたしの故郷
透明な風が秋めいてきた街を吹き抜ける
遠い響きが折り重ねる音像の揺らぎが
意識の底から未だ微かに立ち上がる予感なら
おれはおれの病の生々しさにひたすら耐える
おれはおれの現実のリアルにひたすら耐える
生きたたましいの残響、生きる魂の残響