ヨランの挑戦(十四)
朧月夜
「この世界の真実、と言いましたか? ではやはり、このハーレスケイドは?」
ヨランは、一行の思いを置き去りにするかのように、性急に、矢継ぎ早に、
オーマルに尋ねていた。いつもの間抜けな調子は、
(それは、彼の慎重さに裏打ちされたものであったのだが)そこにはなかった。
「お前は、結論を急ぎ過ぎるようですね。ドワーフよ。
この世界を訪れた以上、お前はこの世界の理に従わねばなりません。
そこから逸脱して、何らかの利益が得られると思うのですか?」
「利益などと……。わたしが求めるものは、真実でございます」ヨランは、額から汗を流した。
「ならば結構。この世界も、汝らの行いを受け入れるものでしょう。
きっと、天国におわす二十五神、地獄におわす二十五神も、
汝らの行い、そして、思いに感じ入るところもございましょう……」
ヨランを除く、アイソニアの騎士とエイミノアとは、互いに見つめあった。
(なんだ、この結論は? 俺たちは、この女に乗せられているのか?)そう思ったのである。
しかし、ヨランは違った。真剣な目で、オーマルを見据えていた。そこに、ヨラン自身の戦いがあった。
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クールラントの詩