ヨランの挑戦(十一)
朧月夜
「この世界の理? ここがそれほど異質な世界だと、あなたは言うのか?」
居ても立ってもいられないといった様子で、アイソニアの騎士が尋ねた。
アイソニアの騎士は戦いには慣れている。しかし、謎解きのごときは、
エインスベルや盗賊ヨランの仕事だった。彼には、剣のみしかなかったのである。
女はゆっくりとうなづく。「ここ、ハーレスケイドでは、
許された者しか、その宝を得ることは出来ません。資格が必要なのです。
人として、生命体として、いかに生きていくのか、そして、何を目的とするのか」
「目的? それはただ一つだ。善意のためだ。正義のためだ」
アイソニアの騎士は、ヨランを押しのけるようにして、言葉を継いだ。
(ここは、俺が話さなければならない。でなければ、全てが失われてしまう)
そう、アイソニアの騎士は思っていたのである。ある種の純情、そしてある種の義憤。
アイソニアの騎士を突き動かしていたのは、そんな止むに止まれぬ衝動だった。
これに関しては、ヨランも口を挟むべきではない、と考える。そして沈黙していた。
「俺は、愛する人を救わなければならない。そのための旅なのだ、ここへと来たのは!」
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クールラントの詩