読んでるスピード
竜門勇気


電車好きかい?
電車が君は好きかい?
なあ、あんた。
電車は好きかい?

クリスマスイブに盗まれた戦闘機
やっと帰ってきたよ
上空で旋回する
かわいそうな人たち
逃げ惑う小さな生き物

電車は好きか?
電車のことを考えてる?
なあ、あんた。
あの列車が走る先を
まだ愛してるかい?

クリスマスイブに盗まれた戦闘機
胸いっぱいに冷たい空気を吸い込んで
星の空を逃げ惑ってる
なにか価値のあることを
お互いに交わしあいたくて
かえってやけっぱちのパンクソングに聞こえちまう

どこかに栄光ってかかれた看板があるなら
もっとことは簡単だったはずさ
意味がありそうで無意味な
無数の言葉の前で
なにか価値の有りそうな切符を買うしかないんだ
何を信じて生きてきたか
そんななんの意味もないものを頼りに進んでいく

クリスマスイブに盗まれた戦闘機
逃げ出すことも諦めた頃に
僕らとおんなじ顔をした誰かが
隣に立って絶望してる
腹いっぱいにやくたたずの爆弾を抱えてる
壊れた無線に叫ぶのをやめたとき
僕らは空に浮かんでる死を見た

暗闇の向こう側に
ハイ・ファイブ
薄れていく
ハイ・ファイブ
ろくでなしがつくる
クソとしか言いようがない祝福
僕らを殺す
僕らを殺す
クソとしか言いようがない祝福を
あまねく全てにあたえてればいいだろ
もう、そんなスピードすら消えちまっただろ?



自由詩 読んでるスピード Copyright 竜門勇気 2022-08-26 02:58:51
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