独りの声
ひだかたけし
声が踊っている
疼きの渦のなか
束の間の命の果て
死は避けがたく訪れ
わたしの肉を奪っていく
苦痛に充ちたこの肉を
喜びを刻印したこの肉を
思い出がすべて蘇り
やがて消滅する
われわれは結局のところ同じ
われわれは結局のところ同じ
(動物であると同時に神々であるわれわれ*)
澄み渡る空
流れる透明な水
向こうの深みから現れるもの
わたしは待っている
わたしは舞っている
病を背負い、静けさに身を委ね
裸の世界に包まれた生の歓びを高揚を
語りえぬものの声が響き渡るのを
束の間の命の最中
声が踊っている
疼きの渦のなか
響きの宇宙のなか
黄昏の光が輝く
*ヘッセ『平和に向かって』より引用