メロンの味
番田 

6月の頭だっただろうか。新たにメモリを増設しようとヤフオクで買ってはみたが、案の定認識しなかったのでそれを返品し、別の人から同じスペックのメモリを新たに仕入れた。なんだかんだであとで電気代をチェックすると、かなり浪費させられていたという。肝心のスピードの方は、あまり変わらずで、そもそもこの鈍さの原因はOSのせいなのか、それとも気分的なものによるものなのかの判断に迷ったが、動作は不安定ではあった。僕は、前述の出品者に返品のための振り込み用の銀行口座の連絡をした。後述の出品者にはお礼の連絡を入れようかと思っている。満足できない結果ではあった。この原因はCPUによるものだったのかもしれない。メロンを買ったが、期待したほど甘くはなかったように、しばらく冷蔵庫に入れておこうと思う、そうすれば、思い出したときに、それを齧ると、甘いと感じれられるかもしれない。若い頃に歩いていた街の景色みたいに、そんなふうに、生きていくことは甘いわけではなかったが。失業していた頃はカラオケボックスによく行っていた。この前駅前に行ってみると、その店は、今でも同じ場所に存在していた。平日の昼間、後ろめたさを感じながら入ったときにいたカラオケボックスのカウンターの店員の記憶はおぼろげだったが、そこから出てくるときにすれ違った赤いリボンをつけた二人の女子高生はよく覚えていた。それから、取っておいた整理券を手に、職安に向かっていつも歩いていた。


散文(批評随筆小説等) メロンの味 Copyright 番田  2022-06-09 00:57:57
notebook Home