女學生日記 十九
TAT


五月二十九日 月曜
天氣 晴
起床 五時十分
就床 十二時三分

一限 國語自習 二限 試驗 三限 理科自習 四限 試驗
朝礼教室
島先生のお話がある



五月三十日 火曜
天氣 晴
起床 五時二分
就床 十一時三七分

朝早く起きて復習をする
今日は数學と歴史である
歴史の時ある方が横目を使つて私の答案(間違へた所)を見て書かれたのでそのある方も私も違つてゐる
私はつく〴〵そういふ事をするもので無いと感じた
中山信一先生が兵庫縣神戸第二中學校へお變りになる
もう六年もゐらつしやつたのださうです
あんなによい先生が行つて終はれると思ふと淋しくなる
だけど仕方が無い
先生のお家の御都合なのだから



五月三十一日 水曜
天氣 晴
起床 五時二分
就床 十時二〇分

今日は最後で英語だけである
大体やれたつもりだがどうかしら
心配だ
英語がすんでから遠足
お辨當を持つて何時砂場の砂を取りに行つた所へ今度は園藝の砂を取りに行くのです
向ふへ着いてからすぐ食事
途中山を越えたのでとてもつかれる
篠塚さんと山口さんと一緒に食事をすまして川へ入つてあそびました
砂を一杯つめて何度も持直し持直し来ました
袋ですつたのか徽章を落してしまつた



六月一日 木曜
天氣 晴
起床 五時五〇分
就床 十時三〇分

今日から夏服だ
眞白な洋服を
目を射る
裁縫は今日家へ持つて月曜日に出すのです
お晝休みは垂水の練習を致しましたのでピアノを見て戴きませんでした



六月二日 金曜
天氣 晴
起床 六時二分
就床 九時五五分

習字は五頁を清書する
体操は扇先生でした
理科の時 今度の時「蛙をつかまへて来る事」と言はれました
そしたら誰かが「わぁ|」と驚いたら中野先生が「百姓 町人の小せがれが」と何度も言はれたので面白くなつて笑つてしまつた



六月三日 土曜
天氣 晴
起床 六時二分
就床 十時三七分

裁縫をやうやく仕上げて出す
三限は本裁女物袷の試驗でした
夕方 篠塚さんと母とお兄さまとお隣の小母さん達と芋島の小母さんの親類の家の方へ散歩がてら螢を取りに行つた
大きい螢が五十足余りも取れた
十時頃 歸る



六月四日 日曜
天氣 晴
起床 六時〇分
就床 十二時〇分

明日は會社の方が二十人も来られるので晝前だけ勉强してお晝からお兄さまや父母達と大掃除を致しました
夜 お裁縫をして寢ました

先生 私は雑誌部ですがどんなお仕事をするのですか
私は先だ何も致して居りません

※今のところ仕事はありません



散文(批評随筆小説等) 女學生日記 十九 Copyright TAT 2022-06-05 18:23:31
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