シオマネキ
umineko

どんな悲しみも
形がないよね
たとえば


あなたはもう
こちらの世界にいないから
私の中で暮らしてね
ようこそ
散らかった私の意識へ

母は言う
毎日言う
誰かのために生きなさい
わかってる

私の意識は混とんとして
私なんだか 母 なんだか
すでにゆるゆる
囲いは溶けて

海岸で
シオマネキがひとりきり
大きく右手を振っている

ねえ
いこうよ
水平線が
夜のしじまに隠れる前に

やさしくなあれ
やさしくなあれ
  
  
  
 
 


自由詩 シオマネキ Copyright umineko 2022-04-28 00:40:45
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