シング・シング・シング
TAT














いつかふしあわせが うわばみのように


あなたをのみこんだとしても











ぼくらみんなで
たすけにゆくよ













ホラッチャ先輩を真似して練習したシング・シング・シングのメロディーが聴こえてくると

ぼくらは世界中どこにいても

あの年の
あの夏と
あの秋を

今も思い出す



僕は今でも刈谷に住んでる
あこは専業主婦になった
みらぽんはアウディのセールスマンになったし
こうちゃんはシカゴ
ヒラリーノはジャカルタにいる
みっさーきは調子がまだよくなくて
部屋に閉じこもったままだ
てっちんは中学の先生になった
ピロはバーテンダー
まきは公認会計士
りす子は二人の男の子のシングルマザーになった






ぼくらは







大学に受かった日も
大学に落ちた日も
就職が決まった夜も
結婚する朝も
母親が死んだ日も
子供が生まれた日も
海外の赴任先でも
引きこもりの自室の中でも
離婚を切り出すか悩んでいる時も
上司のパワハラに苦しんでいる時も
健やかなる時も病める時も




あのメロディを




思い出しながら
生きてきた







だよね?





























たとえふしあわせが うわばみのように

ぼくらをのみこもうとしても



















黄金に輝く楽器は


闇を祓うだろう




中2のあの頃のように








































だよな



























自由詩 シング・シング・シング Copyright TAT 2022-04-24 23:06:30
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