海に還る
大覚アキラ

生まれたのが
海の近くの
とても小さな町で

だから
海の見えないところにいくのが
怖い

波の音とか
磯のにおいとか
塩気を帯びた風とか
わたしの細胞のひとつひとつが
そういうものに
縋って生きているのだ

(真夜中に海辺に出て
 誰もいない砂浜を歩く
 湿った砂を踏みしめる感触を
 足の裏で確かめるように
 味わうように)

誰も住む者が居なくなって
まるで
廃墟みたいになってしまった
あの海のそばの家の壁には
わたしが描いた海の絵が
まだ貼られているのだろうか

わたしの描いた海が
どれだけ色褪せてしまっていたとしても
わたしの中の海は
永遠の青に染まっている


自由詩 海に還る Copyright 大覚アキラ 2005-05-01 23:03:04
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