熱帯夜
船田 仰

あたしの皮膚が密着して懐柔
街灯の輪郭がすんすん揺れる
そのまんまのスピードできみが欲しい
今感染した笑顔の
底からかき混ぜてみてよ

ガムテで口止めされた夜中じゃ
きみの声を映せない
今、今、今牽制したあんたの
文字になってる部分で
携帯の充電が終わったら靴を持てよ
きみは笑っている
色素の薄い目で嗅ぎ付けてる
そして彼女が
わたしを抱きしめて言う
『飢えてるの』

どうか
あたしに下さい
この瞬間に
きみが目をそらしながら言う挨拶には
ほんとに、困るね





自由詩 熱帯夜 Copyright 船田 仰 2005-05-01 20:28:08
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