ある店のこと
番田 

昔僕は糊を、遠い昔のことではあったが‥、学校に行く前に買った。公式としてではないが、小学校の前にあったその店は、明らかに商売を主にその持ち物を必要としていた学生に対しての販売を目的として行っていた。帰り道には、そこの中にはシールを買っていた女の子たちもいて、良く賑わっていた。その糊は適当に買ったのだが、確か50円だった。しかし、女子っぽい色やあしらいがデザイン的に気に食わなかったことを、よく覚えている‥。匂いも、そんな感じだった‥。匂い玉というのも、そういえばよく流行っていた。しかし、店は僕の卒業する頃にはまっさらに無くなっていた。自転車で友達と見に行くと、あったはずの小さな建物は取り払われ、そこには家の庭の敷地の一角としての、新しい芝が敷かれていた。今はそこがどうなっているのかは知らないし、そこが何だったのかを知っていた学生すらも、もう、いないのだけれど。



散文(批評随筆小説等) ある店のこと Copyright 番田  2022-03-27 01:35:30
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