リビングのソファからずり落ちて
あなたは床で眠ってる
軽く蹴ってシャワーに向かう

まだ６時前だけど
ファーマーズマーケットは賑わってる
「なんでみんな早起きなんだ？」
「７時には売り切れちゃうのよ」

摘み立てのイチゴとヨーグルト
焼きたてのパンを買ってベンチに座る
あなたがカップを運んでくる
「向日葵とタンポポのコーヒーしかなかった」

「エリカがもうすぐ出産らしいな」
「あの子シングルだよね？」
「ああ」
「なにか手伝えることがあったらって伝えて」
「そうだな。なあ」
「ん？」
「赤ん坊って生まれたときから爪が生えてるのか？」
「生えてるわよ」
「そうなのか。知らないことって多いよな」
「お姉ちゃんが私に引っかかれて痛かったって言ってた」

野菜バッグを抱えて砂浜を歩く
近所の大学生たちが波打ち際で腕立て伏せをしてる
「おはよう」
「おはようございます」
彼らを跨いでく私をあなたはびっくり顔で見てる

「箱ありがとう。重かったでしょ？」
「なあに一宿一飯の恩義だよ」
「２食だけどね」
あなたを見送ってお昼過ぎまでレポートを書く
午後からはフリーだ

久しぶりにStudio Oneを立ち上げて
ロフトからマイクとキーボードを引っ張り出す
やった！設定残ってる
適当にリズムを叩いてハミングを重ねてみる
天才かもしれない
どんな歌詞にしようかな？
ペンを回す

タイトルはそうね
「赤ん坊の爪のうた（日本は桜が咲きました）」