青空と絶滅
木立 悟






いたるところに在る
きらきらとしたもの
忘れてほしい
ふたつの景色


雪を呑んだままの朝
音もまた呑まれたまま
聞こえるものは無く
火の穂は降る


両腕を下ろし
埃を払い
すべては終わり
両腕は灯り


牙を持つ鳥が
夜へ向かう曇に染まる
線の上では影
地に降りては血


夜は途切れ
灯はつづく
樹の径は曲がる
冬へつづく


風にかすむ低い嵐が
光を口にかき込んでいる
長い雪の一本道に
彫像が次々と倒れゆく


鏡の底の鏡に映る
月と顔と水と音
径と道は交わらず
白く青く すぐそばをゆく


ひたすら明るく
ひかり透す雪
大きく冷たい時間を吸い
けだものはまたひとり生き延びた


影と寒さに
個の弧の声は重なりつづけ
空までとどき 散ってゆく
ひとりの青に 散ってゆく


















自由詩 青空と絶滅 Copyright 木立 悟 2022-03-08 15:45:35
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