恋の時間

その時 私は恋をしていた
好きな彼が眼の前にいて
その無邪気な笑顔は 私の胸を締めつける

彼の打ち明け話とは 苦痛極まりないもので
そうね、彼女は女同士でも信頼できる
などと私に言わせたりする

なぜ神様、
この者は私へと 目を向けてくれませんか
一日の中で圧倒的に私のほうが
一緒に過ごす時間は長いのに

どうせ駄目になるなら
と、気の迷いがあったり 臆病になったり
そんなことで私は忙しかった

この微妙な関係に
ただ波風立てず
のんびりとしたかっただけ
と、言い訳をしながら

秤の上の分銅を素手でベタベタと触るように
このアンバランスな空気を掻き乱すのは
皿が傾いてバラバラと零れ落ちるのを
見届ける勇気が必要なのだ

私にはそれが出来ず 平静を装っては
がんばれよ と、元気付けたり 勇気付けたり
そんな恋の時間が
無駄になったなんてひとつも思わない


自由詩 恋の時間 Copyright  2005-05-01 00:22:36
notebook Home 戻る