祈りの境位
ひだかたけし
哀しく透明な孤独が
身を捩るようにして
この荒野に佇む
彼は永遠に無縁だろう
この世界という謎に包まれ
ひたすら無縁だろう
やがて
青く輝く巨大なこの星が
漆黒の宇宙に呑まれるとき
哀しく透明な孤独は
赤々と燃える炎を見る
見知らぬ大地から燃え盛る紅炎
そのとき彼は初めて悟る
何一つ知ってはいないことに
そのことを理解していることに
そのとき彼は初めて祈る
己の終わりに、世界の終わりに
彼は祈る
宇宙の透明な核がせりあがってくるのを感じながら
圧倒的な懐かしさの感情に包まれながら
そのとき彼は初めて祈る
己という世界に、世界という己に