自由律俳句 2020.02.12(土) 夕べ
田中恭平
買い急ぐことのり弁がまだありました
のり弁に妻が喜んでうれしい
のり弁ぱくつく妻を眺めてうれしい
妻は風呂場へ私はベランダへ向かう
ちかちかする星が電線にひっかかっている
咳する、よわった喉を考える
ひとりラーメン啜る音が忙しい
薬服してやっと机に向かう
喉を気にしてペンが止まる
落ち着けまして事の本質を読む
チョコレートの空箱かよ
ほんとうに御金がないので禁煙かよ
句作しかない 一本の道を往く春
机に落ち着いて春を迎えよう
水を飲んでは飲んで夜深くなる
水を飲んでは蘇る
水のカップを置いてさくさく書く
ひとのもろさの、妻を守る
妻の小言の、天井を仰ぐ
ぼうとしてきて今日を終え切る