越冬
末下りょう


無数の鳥が羽を散らし 冬の花に熔けてゆく


羽音だけを残して



浅瀬に見え隠れする魚は鱗に触れる水を文字のように火で濡らす

揺れる水の傍らで
魚の影は濁り

流されてゆく


(きらめく
花弁と遺言)


アイスバーン──────────────  ─


ろうの     こうろ
そうく


火と人 ´
 
   
歯で唇を踏み
あなたを追ってゆく声は水の径を通るほかなく


sea see s

冬の
海の波は
凍死した文字


雪と雨の狭間から生まれくる風向きにあらがい
火のように鳥が咲く
 

越冬






自由詩 越冬 Copyright 末下りょう 2022-02-10 12:04:54
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