きみはきれいじゃない
花形新次

どんなに化粧したって
着飾ったって
きみはきれいじゃない
生まれもっての
整った顔だって
お金を掛けて
直しまくった顔だって
きみはちっとも
きれいなんかじゃない

きみ自身から
漂って来る煩悩の腐った臭いが
きみを醜くしているからだ

義理の父が脳梗塞で倒れ
寝た切りになって
話すことも食べることも
出来なくなって
十年が過ぎたぐらいから
全身が透き通って
見えるようになった

それは俺が四十五年生きて来て
初めて見る
きれいな
とてもきれいな人間だった



自由詩 きみはきれいじゃない Copyright 花形新次 2022-02-07 22:51:03
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