ミーガンテ対エインスベル(八)
おぼろん

「叔母上、貴女はこれから幽閉の身となるのです」
エインスベルは、ミーガンテの結界を解きながら言った。
「それだけは……、耐えられない」そのミーガンテの言葉に、
「母はそれに耐え抜いてきたのです」エインスベルは答える。

そのころ、アイソニアの騎士はメゾポンテを倒し終わっていた。
ドラゴンの三体をも相手に出来る戦士である。
アイソニアの騎士には幽冥界の魔物など、倒すにさほどの力は必要なかった。
「エインスベルよ、終わったのか?」

アイソニアの騎士は尋ねた。エインスベルは頷いた。
「あとは、母を幽閉の身から解き放つだけです」
アイソニアの騎士は、微笑した。「俺たちは、一つの国を救ったのか」と。

エインスベルは軽く首を振った。
「わたしは復讐を果たしただけです。ファシブルの国については、何一つしていない」
エインスベルの想いに対して、アイソニアの騎士はかける言葉を見つけられなかった。


自由詩 ミーガンテ対エインスベル(八) Copyright おぼろん 2022-01-31 21:53:51
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クールラントの詩