海の鉱石
壮佑


海の鉱石は
どこにあるのだろう
潮水
浜辺の砂の中
海底の岩窟
松毬魚の眼球?
独りぼっちのエメラルドグリーン
ずっと見惚れていたいけど
視線は波にさらわれて
浮島の両脚のように揺らめいて
最後にいつも
僕のもとに還ってくる

海の鉱石に
閉じ込められた日々
遠いイノセンスの光景
僕に残された忘却の結晶は
白い波頭に砕かれて
群青色の大渦に巻き込まれ
羽ばたく飛び魚になって
夏至の空高く
ひと筋の直線を引いた

こっち側と
向こう側に離された
空が潮に流されて
僕が 僕から
遠ざかって行く

海の鉱石を探している
僕は 僕のふりをしながら
空に向かって
誰の名を叫ぼうか





自由詩 海の鉱石 Copyright 壮佑 2022-01-27 19:47:26
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