幽冥界のヨラン(二)
おぼろん

しかし、カジガンデの宝石は生きていた。
誰かが手を触れようとすると、たちまち結界を張ったのである。
盗賊ヨランは、電撃のような刺激を受けて、思わず手を引っ込めた。
「宝石を盗むことは諦めよう」

その代わりに、ヨランはデーモンたちの会話を聞くことにした。
カジガンデには、三人のデーモン、アゴンザカル、ザケルハイド、
そして、ガイゲスがいた。
三人は誰もいない大地の中で、密談をしていたのである。

「最近は現世からの来訪者も多い。魔道を閉じるべきではないのか」
「それはできない、アゴンザカルよ。ここは天国と地獄の狭間にあるのだ」
「幽冥界は、それ自体で独立した世界でなければならない」

「我々は、天国や地獄、現世をこの手に納めるのだ」ザケルハイドが言う。
「すべては、エランドルが魔法素子を世界にばらまいたのがいけないのだ……」
しかし、「そこにいるのは誰か?」突然にアゴンザカルが叫んだ。


自由詩 幽冥界のヨラン(二) Copyright おぼろん 2022-01-16 08:41:07
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クールラントの詩