髪の花
湾鶴

背中にふれる髪は
ここまで伸びた
毛先をつまむと3年前の記憶が
染み込んでいそうで
笑える

きいろい花はいっぱい咲いて
まばたきをする

すぅぃと踊らされて
闇をきる
ゆっさゆっさと居間をゆらして
踊るお父さんと
手を組んで
ハッケヨイ!
たるんだお腹が
エンゼルパイみたいだねと
笑いあった

きいろい花は
またひとつ
はなびらを広げ
頭も手足もうんと伸ばして
どんどん大きくなっていく



髪は 切ろう
はさみを持った右手は
他人の手のように動き
枝毛のない茎が
床に散らばってゆく



自由詩 髪の花 Copyright 湾鶴 2005-04-29 20:08:17
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