スニフ、スニフ、もう行こう。ここには奴隷しかいない。
竜門勇気


僕の言い分なんざ聞いちゃくれなかった
本当に警察って奴らはバカの集まりだ
いくら酔っ払っているったって
三十分ぐらいは辛抱したっていいだろ

いつも顔を出す酒場では
”あんたが来るといつでも喧嘩が起きるから”
行き場がねえんだ、瓶のままでいいからビールをくれって
”明日の朝までシラフでいられたらうんと飲ましてあげる”
きっとそれまでに何人か路地裏に連れ込んで
その金で飲んだくれてるよ

僕の言い分はいつもこうだ
クリスマスですら施しをくれない街が
こんなありきたりの日に
腹ペコで酔っ払ってる僕に何をしてくれた?
なああんた、どうしてそんなに急ぐんだ?
三十分ぐらいは話を聞いてくれてもいいだろ?
ほら、新しい年だ
カレンダーがあちこちで売れてる

いつも顔を出す酒場では言われる
”飲み残しがあんたのものだなんて決めた覚えはない”
愛想良く笑ってるだけで酔っ払いがそう決めたのさ
”明日の朝あんたが死んだってわかったら笑ってあげる”
それは今日じゃないけどそんな日が来る
僕はきっと笑って死ぬ



自由詩 スニフ、スニフ、もう行こう。ここには奴隷しかいない。 Copyright 竜門勇気 2022-01-02 08:40:59
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