聖夜 三篇
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ぬかるみが町から消えて
霜柱はどこか淋しげ
いつも踏み抜いてゆく少年が
空を見ていた
今夜はクリスマスだから

指をかざし町の灯を消して
星をわたる橇いっぱいの贈り物
ひとつは木星
まあるい瓦斯につつまれた
今夜はクリスマスだから

 ・

あなあきのくつしたをぬって
むすんでまいてつみかさね
タンスのうらにかくしてみても
あしたリボンにゆびかけて
かなしみはぬぐわれる
やわらかいひかり
ゆるむあめ
もう、だれもなかない
さよならサンタクロース
もう、だれもふりむかない

 ・

今日も変わらぬひかりを町にうかびあげてみる
靴の裏にかたいいのりを貼りつけたまま
指さきで歌うコイン
誰かをあたためるにはコーラスが足りない
そり跡がくらい虹をひいて
あわ立ちながら駆けてゆく
あの雲もいつかめぐり果てたら
還ってくるだろうか
それを見るだろうか
雪で埋めつくされたこの瞳で



自由詩 聖夜 三篇 Copyright soft_machine 2021-12-26 21:39:34
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