「 ぷっちんぷりんは揺れている。 」
PULL.
旅に出よう!。
そう思い立ったとき、
手にはテレビのリモコンが握られていた。
画面ではバスタオルを巻いたオネイチャンが、温泉のレポートをしている。
濡れたタオル越しに、
ほんのりと透けるオネイチャンの胸は、
ぷっちんぷりんを連想させた。
余談であるが、
ぷっちんぷりんはわたしの大好物である。
あのぷるんと震える質感が、たまらなくわたしを魅了するのだ。
危険な予感が、
口の中に広がった。
あのぷっちんぷりんは、二つある。
ぷっちんぷりんは揺れている。
予感が、
つうと糸を引いた。
わたしはここに告白する。
足下の畳を濡らす液体が、わたしの唾液であることを。
そしてわたしは認めよう。
わたしの手が、既にリモコンではなく別のものを握っていることを。
加速する手の動きに、
わたしは我を忘れた。
一瞬の白い空白のあと、
けだるい罪悪感が、呟いた。
旅に出よう。
右手は、もう飽きた。