soft_machine



壁のむこうにある見えないない営み
空の扉をわたる風のうた
きれいに畳まれた銀紙をひらく
こまかい砂の列や
水にうかべた諦めが
夜に、ある想像をゆるす

月だけ敬えば、他にすることはない
星さえ測れば、それ以上悩まない
こころを圧して離れない
切り出せなかった別れ
グラスの縁にグラスを重ね
閉じない扉へ
回りながら落ちてゆく

耳を掻きながら背中を鳴らし
ひと息に燐寸を走らせる
硝子でつつんだ、酒に新しい酒をうかべ
石と石を積み、すき間に息を吹きこむ
灰色の影が地平を離れた瞬間
真昼の濃さをつくるどこかへ
飛べ、飛んでゆけと
いざなう鳥の声
扉のむこうに拡がっている
みどりが枯れない園へ
水が沸かない国へ

世界の書き手たちがのぞんだ未来を
路地裏の猫とわかちえたら
この落下を止められるだろうか
はじまりとおわりがあらわれる感情を
曇りがきえるまで磨けたら
いつか赦せただろうか
おわらない夜
扉はもう見えない



自由詩Copyright soft_machine 2021-12-08 17:52:46
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