やがて満ちてゆく月のように
ベンジャミン

痩せた身体でうつむけば三日月

足元を眺めれば
いくつもの自分の欠片が光を失いかけている
日々削られてゆくいろいろが
音もたてずに
まるで始めから無かったことのように

やりかけたパズルの
まだ埋められることのない空白は
淋しそうにかたちを求めている
寄り添う相手を探しながら
まるで散らかったような
未完成な僕ら

偶然手に取った1ピース
それがぴたっとはまったとき
とてつもない感動に包まれることがある
わずかな膨らみが
また新しい出会いを生み出すように
埋められてゆく空白

見上げれば
少しだけ月が胸を張っている
それまで見えることのなかった星までもが
薄く浮かび上がってくる
そのとき
覆われていた瞳の膜が剥がされるように
僕らは

夜空が
本当は明るいということに気づく

   


自由詩 やがて満ちてゆく月のように Copyright ベンジャミン 2005-04-28 16:55:45
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
タイトル長いー詩