風が我楽多を靡かせる
あらい
夢よ幻よ。やるせなくそして ひざまずく。
たとえば湿ったアスファルトと、推し量る
仄かに照り返すみちびき。
一本の露地のその先へ、
うちとどめなければならない
なにかを
砂山の卒塔婆に見立てるだけの
わたしたちは。
黒い影や光の渦と、とめどなく板壁を伝い 溢れ出て
雲間に靑空を、呆けては傍観する、
それは、
一瞬でも永遠にも映り込む陰画のように大海へとけだしている
三日月と曳かれ(生々しい傷跡を毟る。一縷の望みと一端の責任を)
盆の上に潮時が起立する。
迷走の域はかくもあたたかく
限りなく深く、ずぶにしずんで
ある一室に灯る つきあかりのふもとは、深夜
ふらふらと
ただただ
微動だにしない、蝴蝶を追いかけて 転げ落ちる
とどまることを知らず 無神論者のうたに
今に 今に 手をのばしている、
あれは 路地裏を縫い付け、ひと目につかぬように囲う、
ひというひを 抱え暮らしていたのだ
(それに縋っているだけなのかもしれない)
ただそれだけのことにひれ伏してしまいたい
救われもしない。自堕落にも盃に揺らぐ思いを呑み下して
たゆみなくあらわれる時を、酔いに任せ、なにごともなく
過ぎ去る今に変容する
すがたは、
不意に哭いていることにきづき、
誰かを求めているのだとおもい
見えない箱庭をかきみだしている
これらは無意味にも等しいことを、覆い隠して
兎角嘲笑う、さすれば感傷に浸るだけの私として
先ずは置かれているはずだった
きまぐれは我楽多を捲りあげ
意識は途切れている