11月23日、怯えた詐欺師
奥畑 梨奈枝

傷ついた子供の頃を庭に埋め
その寒さ、苦しみを庇うのに
人を哀れんでは人を責め
人を憎んでは虚仮にして
生身の己れの無視をした

ごまかしてきたこの血管に
もはや血が通わないことに
気づいたときにはもう
心地よさや安らぎ
家族や友人たちは
ほとんど見えなくなって

11月23日
街路樹は無惨に枝を刈り取られていて
まやかしの私のために雇われた
不慣れな怯えた詐欺師だけが
立てかけられていた







自由詩 11月23日、怯えた詐欺師 Copyright 奥畑 梨奈枝 2021-11-23 13:58:56
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