テントに映るシルエット
komasen333


水面に映るシルエット
夢中に 冷静に シャッター
永遠にできぬ水仙
永遠にしようとして止まない


午前の陽射しに包まれ
和らいでゆく斜線の横顔
するべきことに追われた
したいことに押し潰された
昨日までを浄化するように
私たちは
天空を見上げる蟹を見つめる


覚えていて
くれなくていい

思い出して
くれなくていい

この心だけがきっと
また 一人で思い出すから


最初で最後の
旅になりそうな予感
何度も何度も拭おうとして
慣れぬ冗談で茶化そうとしたり
今までしてあげられなかったこと
ふんだんにサプライズに包み込んだり


最後とわかっていたから
こんなに 頑張れたのかもしれない

最後とわかっていたから
あんなに 笑ってくれたのかもしれない


キャンドルが揺れる
寄せ合う肩を縁取っていく

夜が深まっていく
朝を遠ざけるように
互いの未来を鎮めるように


自由詩 テントに映るシルエット Copyright komasen333 2021-07-19 22:31:25
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