フォーミコフォリアvs世界哲学
竜門勇気


僕らは失敗することもあるし
負けることもある
戦いを持つ限り痛めつけられ続けるし
成功を感じることなんてないかもしれない
僕は惨めに見えるかもしれないし
そのとおりだ、と僕は思っているかもしれない

机の上に水滴が落ちていた
今日、失敗と押し付けられた敗北に濡れている
乾いた夢の中でもがいた
目覚めるな、目覚めるな

近づいてくる影ならもうすぐ
この部屋につくはずだよ
主なき影は主なき場所を探してるからな
主なき存在がうろついてる部屋なんか
喉から手が出るくらい欲しいはずさ
ほら、聞こえる
雨だれじゃない

なあ、そろそろ出てってくれないか
あいつが来てるのに
迎え入れないなんてできない

痛めつけられているように見えるだろうし
何もかもに打ちのめされているように見えるだろうし
何ひとつものにできない出来損ないに見えるだろうけど
とにかく自分で選ぶよ

階段滑るから気をつけて
この部屋を出たらもう何も触っちゃだめだ
早く帰ってゴミ捨てのあとみたいに手を洗って
もういつもみたいにしてもいい
もういつもの中に僕を代入するのをやめて
もっと自分のこととかでも考えてくれ

僕も君のことは引き出しの中の小さな虫ぐらいに思うから



自由詩 フォーミコフォリアvs世界哲学 Copyright 竜門勇気 2021-07-03 10:27:55
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