君が死ぬとき
竜門勇気

君が死ぬとき
流す言葉を集めて
冷たいコップの中で
氷に溶けるのを見ていたい

季節が変わる頃ってのは
何もかもが不安定だ
雨の温度や風の強さ
気に食わないものばかりさ

君が死ぬとき
落ちる言葉を集めて
甘いお菓子を食べたあと
一息に飲み干したい

視界に入る自分の心は
いつも頑なだ
錆び落ちた廃墟の脆さ
でも決して朽ちたドアは開かない

君が死ぬとき
零れた言葉を集めて
カセットテープに詰めて
暗闇を行くときに思い出したい

誓いの数だけ
口に禁をかける
声は風になる
風について、声であるって結論にしか到れない
風は吹く、だから、声もやがて吹く
季節によってはどこへも出かけられないぐらい

君が死ぬとき
涙がこぼれて
それを集めて
また僕は泣く
涙を集めても
何も起きない
起きることは
涙を作ってる

君が死ぬとき
どんな事が起きるんだろう
世界の終わりを想像するみたいで
いまいちピンとこない
結局自分の涙のことしか考えられないだろう
自分の顔を流れていくのが
涙だってことしか
きっとわからないんだろう
君が死ぬとき
自分の何が死んでないのか
探すことになるんだろう


自由詩 君が死ぬとき Copyright 竜門勇気 2021-06-25 23:31:46
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