料理で俳句㉓イカ
SDGs

本日のお品書き~イカ~


  世界の中心で叫ぶ「イカが好き」

 イカが好きすぎて困る。特に寿司屋に行くと困る。イカしか注文したくないから困る。最初は「イカ二貫、ヘイ!」「ゲソ二貫、ヘイ!!」と威勢が良かったものの、しばらくすると板前は「こいつ何者?」という目を向ける(ような気がする)。しかたがないから「ヒモ、もらおうか」「アジ、ある?」なんて目先を変えつつ、やがてそろりイカに舞い戻っていく。でも、この迂回がムダでつらいのよ。どこかにイカしか出さない寿司屋がないものかしらん。

 寿司屋でのそうした心理戦に疲れると「やっぱ、自分でつくるしかないか」と例によって、逗子駅前のスズキヤに出かけることになる。時期によってイカの種類が変わるので、色々なイカが楽しめる。で、「うまイカのランキング表」をつくってみた。

◆東の横綱:赤イカ(だるまイカ)
甘くてうまい。山口県の萩沖のものが最上。ワサビも、大葉もいらない。醬油だけでうまい。

◆西の横綱:剣先イカ
活きのいいのは身が透明で後ろの風景が見える。佐賀の呼子の名物がこれ。すこし固いがうまい。

◆大関:紋甲イカ(スミイカ)
ねっとりとコクがあってうまい。その名のとおり、大量に墨を吐く。服についたら絶対に落ちない。出始めの「新子」と呼ばれる三センチ程度のスミイカは、寿司に一匹づけして食べる。世田谷の住宅地のなかにこれを食わす有名店に出かけたが、腰を抜かすほどうまいものじゃない。新しい季節の到来を知るのにはいい。

◆前頭筆頭:ヤリイカ
オールラウンダー。ミミもゲソも生でうまい。塩・胡椒してオリーブをかけて(カルパッチョですね)、サン・ペレグリノで割ったよく冷えた白ワイン(ローマの生一本・フラスカティが一番)でどうぞ。

◆十両:あおりイカ
寿司ネタに最上といわれているが、身が大きいのでネタ数がとれるからだろうと推測。いわゆる寿司屋のポジション・トーク。まずくはない。

◆破門:するめイカ
5月のするめイカはその季節(麦秋)のその色からして麦イカと呼ばれて、うまいといわれるがうまくない。するめイカは干してアタリメにするのがいい。

 じゃ、スズキヤに行ってきます。


俳句 料理で俳句㉓イカ Copyright SDGs 2021-06-21 17:30:51
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