世界樹を輪切りにして天文学を発展させる
道草次郎

それは
外側へ行けば行くほど新しくなり
中心へ向かうほど古くなる
外側に近い方が今だとしたら
中心点が原初となる

一番外側から
中心点を見ている誰かがいる
その者は
手に何を持っているだろうか

天体観測器か
シャベルか
それとも
スポイトか

かれらのような者は
いつも我々の世界のどこかにいて
慎重な
それでいて熱のある眼差しを
古くから伝わる
あのこめかみに蓄えて来た

しかしかれらは知らない
中心点にも
もう一人ずつのかれらがいることを

のぞくとは
すなわち
のぞかれること

もう一人のかれらは
神ではない

それは
あまりにもかれららしい
もう一人の
かれらに過ぎないのだそうだ


自由詩 世界樹を輪切りにして天文学を発展させる Copyright 道草次郎 2021-04-09 22:28:43
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