ブック・シッター
道草次郎

本のこどものシッターをした
本もまだこどもなので
ヨチヨチ歩きだった
いっちゃメという国へ
いきたがり
やっちゃメという冒険を
したがった
なかなか語彙を食べてくれず
困っていると
いつしかシンドバッドのまま
寝入ってしまった
ファンタジーの鼻ちょうちんが
パチンと弾け
ドラゴンの寝息が
子供部屋にひびきわたった
お次はいったいどんなことが?
やれやれ
本のシッターの仕事も大変だ
この調子で行けば
本の親が帰ってくる前に
学術論文にでも
なっちまうかもしれないぞ
専門用語の料理は
あんまり得意じゃないんだ
追加料金OKなら
まあ考えないことはないけどさ




自由詩 ブック・シッター Copyright 道草次郎 2021-03-28 17:28:52
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